「あらゆる領収書は経費で落とせる」という書籍があります。
もしかしたら本屋で見かけたことがあるかもしれません。
結構刺激的なタイトルで、本当にそうなってしまうと何でもありになってしまいますから、過剰なタイトルは注目を浴びるための常套手段だと割り切って読む必要があります。
ここではその本について、一人の税理士として感想程度ですが述べてみたいと思います。
まず結論として、ある領収書が経費として認められるには事業との関連性があることが必要です。
当たり前と言えば当たり前ですが、逆に考えれば、事業との関連性をそれなりの証拠を持って主張できれば、まさに「あらゆる領収書は経費になる」かもしれません。
結局この経費は認められる、認められない、という判断は法律に細かく書いてあるわけではないのです。
一つ一つの経費を法律で規定していたらキリがありません。
そこで事業との関連性があれば基本的には認められるということになっています。
そうなると当然グレー的な経費というものも発生してしまうかもしれませんが、何とか理屈をこじつければ実は経費になってしまうこともある、という読み物のような感じでした。
ただ中にはスポーツクラブや慰安旅行の経費を認めてもらう方法など、本当に実務で役立つ情報もあります。
しかし一件無理そうな経費でも理屈をこじつけて経費に持っていくという手法は、実際にやるとなると結構大変なのです。
この本の内容が当たり前と思われてしまい、何でも経費にしてくれと言われるようになると、税理士も説明が大変です。
では役に立たない本かと言うと、そうでもなく、大切なことも述べられています。
・誤りを証明するのは税務署の仕事
・税務署の言っていることでも間違いはある
・知識のない税務署の職員も多い
・税金の世界はグレーゾーンがけっこうある
など重要で興味深いことも、元国税調査官の著書から生々しく語られています。
気になった方は読んでみてはいかがでしょうか?