事業をしていて資金が不足してきたため銀行から借りることはよくあります。
しかし返すことが難しくなってさらに借りたり、条件を変更してもらうこともよくあります。
一体何がいけなかったのでしょうか。
分かっているようで分かっていない借金の本質に迫ってみたいと思います。
(1)なぜ多額のお金が振り込まれるのか
銀行からお金を借りると多額のまとまったお金が自分又は会社の口座に振り込まれます。
なぜでしょうか?
銀行から借りたから、では小学生の発想です。
これでは借りる資格はないと思った方がいいです。
厳しいことを言いますが、借金の返済はやはり大変なのであえて言っています。
結論から言えばそのまとまったお金、借りたお金とは将来の自分が稼ぐであろう利益なのです。
ここを勘違いしている人が多くいらっしゃいます。
確かに銀行がお金を出してはいますが、利子は別として、元本は結局すべて回収するのでプラスマイナス0なのです。
全額回収すれば、長期的に考えると銀行のお金に変動はありません。
自分が将来稼ぐ利益を事前に受け取っているのが借金の本質なのです。
逆に考えれば、将来自分がお金を稼いでも、その利益は借金の返済に消えることになります。
(2)借金の本質
この仕組みは実は恐ろしい話しだと思えないでしょうか?
なぜなら将来どうなるかは分からないからです。
本来であれば、将来稼ぐ利益を事前に受け取ることなどできません。
取引先に将来の利益分を下さいとお願いしたら、即契約打ち切りでしょう。
しかし借金という仕組みを使えばそれができてしまうのです。
まだどうなるかは分からないのにお金を手に入れることができるのです。
これは簡単に考えてはいけないと思っています。
お金がなくなってきた、そろそろ借りよう、では計画性がなさすぎです。
逆にそのような考えの人にお金を貸そうと思うでしょうか?
(3)まだお金を借りますか?
それでもまだお金を借りたいでしょうか?
もちろん現場の経営者の方に言わせれば、借金をしないとやっていけない、何を言っているんだ、という話しになるでしょう。
それでもあえて厳しく言うと、常に借金をしていないと事業が運営できないのであれば、それはもはやビジネスとして成立していないのではないでしょうか。
でも生活ができない、と言うのであればそれは借金で生活しているようなものです。
破たんの可能性は高くなっていきます。
ビジネスの前提はお金を稼ぐことにあります。
ボランティアではありません。
稼げないのであれば、利益が出ないのであれば、もはやビジネスではないのです。
中小企業の社長は上場している大企業の社長と違って首になることはありません。
でも首という制度があったらとっくに首を切られています。
毎年赤字で借金まみれで自転車操業をしている、そんな社長を誰が評価するでしょうか。
(4)まだましなケース
それでもまだ借金が有効なケースもあります。
絶対に借りてはいけないとは言いません。
自動車ローンのように金利も低く、かつ必ず事業に車が必要であれば仕方ありません。
また業績が確実に上向いていて、設備投資や人件費に先行投資が必要なケースも上手くいくパターンでしょう。
(5)業績の把握とシナリオの勧め
どうしても借りる場合でも、業績の把握は必ず必要です。
どのくらい儲かっているのか、損しているのか、またその原因は何か、といったことを知らずに闇雲に借金をしても返せなくなるのは必然かもしれません。
また現状維持の場合の利益、売上が下がった場合の利益はどうなるかシミュレーションもしておくべきです。
最悪の場合はどうなるか、その辺りを把握していないと借入の面談でも金融機関を説得できないと思います。
(6)逆算が必要
具体的には逆算をすることが大切で、例えば毎月10万円の利益が出るとします。
税金が3~4割、予備2割、残りを返済に回せると仮定すれば、利息も考慮して5年返済でおよそ200万円は借りられる計算になります。
このような簡単な計算すらできない人に、お金を貸したいでしょうか。
少し厳しい言い方になってしまいましたが、衝動的に借りても後々自分の首を締めることになります。
行動は大胆でもいいのですが、その裏付けとなる計算は緻密な方がいいのではないでしょうか。