年末調整の概要

ここでは年末調整の概要について説明しています。

なお当サイトでの年末調整に関する説明は、会社等から年末調整に関する用紙を渡されたけれど、どう書けばいいのか分からない方を想定しています。

年末調整に関するページ

当サイトは年末調整について、

年末調整の概要
年末調整の添付書類
扶養控除等申告書
基礎控除申告書等
保険料控除申告書

の5つのページで説明しています。

なお国税庁の電話相談センターでは、無料かつ匿名で国税や年末調整に関する質問ができます。

年末調整で提出する3つの申告書

年末調整で提出する申告書は主に3種類あります。

正式名称が長いので省略しますが、扶養控除等申告書、基礎控除申告書等、

もう1つは保険料控除等申告書です。

ちなみにこれらの申告書は事業者が保存することになっています。

年末調整とは?

年末調整とはサラリーマン、OL向けの確定申告のことです。

派遣社員、パート、アルバイトなど給与をもらっている方にも適用されます。

会社などの事業者が本人に代わって計算処理などをします。

サラリーマン、OL向けの確定申告なので、限定的な処理しか認められていません。

例えば医療費控除を受ける場合などは、直接税務署に対して自分で確定申告をします。

年末調整だけで問題がない方はもう税金に関する処理は終わりです。

そうでない方は税務署に対して確定申告をすることになります。

(参考)確定申告が義務となる場合

給与の支給を受けているサラリーマン等で、確定申告が義務となる方は次の人となります。

・給与収入が年間で2,000万円を超える人

・アフィリエイト、ヤフオクなどの副業等の所得(所得とは利益のことです。収入ではありません。)が20万円を超える人

・例えば正社員の方が週末にアルバイトをしていて、その給与収入(所得ではなく収入です。)が20万円を超える人

・同族会社の役員で、会社から賃貸料などの収入がある人

・その他一定の人

なお正確には国税庁ホームページをご参照下さい。

申告書の年度

実は年末調整時に会社等から配られる扶養控除等申告書は、年度が違っています。

扶養控除等申告書は来年の分で、他の申告書は今年の分です。

なぜ来年の分を提出するのかというと、扶養控除等申告書は一年中使用するからです。

毎月の給与から差し引く源泉徴収に使用するので、1月から新しいものが必要となります。

年末調整時にあらかじめ来年の分を提出しておけば事務手続きがスムーズに行えます。

基礎控除申告書等、保険料控除申告書はまさに確定申告に近い感じで、正しい所得税の計算のために提出して役目は終わりです。

また今年の扶養控除等申告書(昨年の年末調整時に提出したもの)についてはもう一度渡されて、訂正を求められる場合もあります。

むしろその方法が正しいやり方です。

扶養控除等申告書の提出は義務か?

正社員でもアルバイトでも、その会社等を主な職場として継続して仕事をされる方は、扶養控除等申告書の提出は義務です。

所得税法194条で決まっています。

さらに提出後も変更事項があればその都度訂正又は再提出します。

つまり扶養控除等申告書は1年中リアルタイムで訂正する可能性があることになります。

実際は年末調整時に訂正すれば間に合う場合も多いですが、常に訂正する方法が正しい方法となります。

また毎月の給与計算で使用することになります。

年末調整は強制か?

扶養控除等申告書の提出が義務であることは確認できたと思います。

また扶養控除等申告書を提出した者に対しては年末調整をしなければならないと、所得税法190条で決まっています。(一定の者は除く。)

よって基本的には年末調整は強制ということになります。

3月に税務署に対して確定申告をするしないは関係ありません。

年末調整をしなかったけど・・・

前の会社では、自分で確定申告をするので年末調整を受けなかった。

そしてそれが認められていた。というケースもあるでしょう。

しかしだからといってそれが正しいとは言えません。

たまたま税務署から何も指摘をされたことがないだけなのかもしれません。

年末調整をしない場合

例外として年末調整をしない場合もあるので、以下に主なケースを掲げておきます。

◇給与の年収が2千万円を超える人

◇他に主とする職場がある人

◇源泉徴収時に乙欄を適用している人(扶養控除等申告書の提出がない方)

◇年の途中で退職した人(一定の退職者は必要となります。)

◇継続して同じ雇用主に雇用されない日雇労働者

実務上の処理

ちなみに実務上は、来年の分の扶養控除等申告書であっても、今年の年末調整で使用するのに都合がいいので、その来年の分の扶養控除等申告書を使用しているケースもあります。

しかし本来はあくまでも今年の分を使用することになっており、そのことは国税庁が作成する年末調整のしかたという冊子でも確認ができるので、担当者の方は目を通してみるといいと思います。
(参考)「令和○○年分 年末調整のしかた」で検索 ※○○に年を入れて下さい。

つまり来年の扶養控除等申告書は、あくまでも来年に使用します。

もし今年の扶養控除等申告書に変更がある場合は訂正などをして、今年の年末調整に使用する方法が正しいルールです。

末締めの年末調整

例えば給与の締め日が末日で、支払日が翌月10日という会社もあると思います。

この場合12月分の給与については、支払いは翌月10日ですが、年末調整に含めるのでしょうか?

実は年末調整における給与とは実際の支払予定日を前提に考えています。

よって12月10日に支払った11月分の給与までが年末調整の対象となります。